倉庫業登録

 倉庫業登録の要件の一つに施設設備基準というのがあります。この基準は他人の貴重な物品を預かる営業倉庫という観点から、建物の構造設備を規制する一般法である建築基準法、消防法などの基準に比べて特に高いものとなっています。
 高い施設設備基準をクリアし、登録を受けると火災発生率の低い倉庫としての信頼が得られ火災保険料率も低くなります。

 ここでは、主に営業倉庫の種類と施設設備基準の必要書類を示します。

 施設設備基準として
①使用権原を証する『登記簿謄本等』、②関係法令適合性を証する『確認済証・検査済証』、③土地定着性等を証する『立面図』、④外壁、床の強度を証する『確認済証、立面図、矩計図』、⑤防水性能を証する『矩計図』、⑥防湿性能を証する『矩計図』、⑦遮熱性能を証する『確認済証』、⑧耐火性能を証する『確認済証』、⑨災害防止措置を証する『倉庫の配置図』、⑩防火区画を証する『平面図、矩計図』、⑪消火設備を証する『消化器の仕様、位置の詳細を表示した平面図』、⑫防犯措置を証する『建具表、照明装置詳細表示の平面図、警備契約書』⑬防鼠措置を証する『平面図、矩計図、建具表
が下記「1類倉庫」、「2類倉庫」、「3類倉庫」でそれぞれ必要な書類を示します。

1類倉庫
 冷蔵倉庫、危険品倉庫での保管が義務づけられている物品以外保管物品の制限がない倉庫です。つまり上記①~⑬全てを満たした倉庫です。
 一番グレードが高い倉庫なのでその分施設設備基準も高くなります。
2類倉庫
 飼料、ガラス器、缶入製品、原木、ソーダ灰などを保管することができる倉庫です。
 保管することができる物品の性質上、倉庫に耐火性能を有す必要がありません。つまり上記①~⑬のうち⑧耐火性のいらない倉庫です。
3類倉庫
 陶磁器、アルミインゴット、原木などを保管することができる倉庫です。
 保管することができる物品の性質上、倉庫に防水・防湿・遮熱・耐火の各性能と防鼠措置の必要がありません。つまり上記①~⑬のうち⑤防水、⑥防湿、⑦遮熱、⑧耐火の各性能と⑬の防鼠措置のいらない倉庫です。

 
 下記「野積倉庫」、「水面倉庫」、「貯蔵槽倉庫」は上記①、②、⑤、⑧、⑨、⑪、⑫に加えて、⑭防護措置を証する『倉庫の配置図、鉄策詳細表示の平面図』、⑮照明装置を証する『照明装置詳細表示の平面図』、⑯屋上床強度等を証する『構造計算書、防護ネット詳細表示の平面図』、⑰水面防護措置を証する『築堤詳細表示の平面図』、⑱流出防止措置を証する『詳細断面図・平面図』、⑲土地定着性等を証する『立面図、矩計図』、⑳周壁底面教徒を証する『構造計算書』から必要書類を示します。

野積倉庫
 鋼材・瓦、岩塩、原木など雨風にさらされてもよく、柵や塀で囲まれた区画、つまり屋外で保管する倉庫です。上記①、②、⑪、⑭、⑮、⑯を満たす倉庫になります。
水面倉庫
 原木などを水面で保管する倉庫です。上記①、②、⑮、⑰、⑱を満たす倉庫になります。 
貯蔵槽倉庫
 穀物、糖蜜などをバラ貨物及び液体等で保管する倉庫です。 いわゆるサイロやタンクと呼ばれるものです。上記①、②、⑤、⑧、⑨、⑪、⑫、⑲、⑳を満たす倉庫になります。

 下記「危険品(工作物)」、「危険品(土地)」、「冷蔵倉庫」は上記①、②、③、④、⑤、⑨、⑩、⑪、⑫、⑭、⑮、⑯に加えて、㉑通報設備を証する『インターホン詳細表示の平面図』、㉒冷蔵設備を証する『冷蔵能力計算書』、㉓温度計等を証する『集中管理システム仕様書、掲示板詳細表示の平面図』から必要書類を示します。

危険品(工作物)倉庫
 建屋、タンクでアルコール等危険物を保管する倉庫です。上記①、②、⑪、⑫を満たす倉庫になります。
危険品(土地)倉庫
 区画(区域)で潤滑油等危険物を保管する倉庫です。上記①、②、⑪、⑭、⑮、⑯を満たす倉庫になります。
冷蔵倉庫
 10℃以下の物品、冷凍水産物、食肉などを保管することができる倉庫です。上記①~⑤、⑨~⑫、㉑~㉓を満たす倉庫になります。

 
 上記「種々の倉庫」と下記「トランクルーム」との相違点は、トランクルームが消費者からの寄託貨物のみを取り扱う点のみです。
 故にトランクルームの施設設備基準は、保管物品の類別によります。
 ここでは、保管物品の制限が一番少ない「1類倉庫」を前提に説明いたします。

トランクルーム
 家財、美術骨董品、ピアノ、書類、磁気テープなど個人の財産を保管する倉庫です。 
 1類倉庫の施設審査基準(上記①~⑬)を満たし、国土交通省へ申請してから認定されると『優良トランクルーム』として、営業所・窓口・パンフレット等に国土交通省のマークを掲げることができます。

 また、登録申請前に建築基準法・都市計画法上の留意点として①準住居地域を除く居住地域開発行為許可を有しない市街化調整区域による「倉庫業を営む倉庫」は原則として認められていません。『取扱う保管物品』、『施設設備基準』と併せて事前準備・相談が必要です。