建設業許可

 「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。(建設業法<以下「」と表記します。>2条2項)建設業者には、請負った施工部分について最後まで責任を担うことが要求されます。

 許可業種は、土木工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・レンガ工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事業、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、解体工事業の29業種です。(法第3条第二項別表第一)

 一般建設業許可、特定建設業許可:元請けとして受注した1件の工事について、下請けに出す金額の合計が4000万円(建築一式工事は6000万円)以上となる場合。(1回でもあれば対象となります。) を取得するためには、次の5つの要件を全て満たす必要があります。

経営業務の管理責任者 (法第7条第1号、第15条第1号)
 経営業務の管理責任者とは、経理や請負契約業務などの面で特殊性が高い建設業にあって、その知識経験を十分に有する人を、経営側の責任者としてあらかじめ指定していただくものです。
 法人では常勤の役員のうち一人が、個人では本人又は支配人のうち一人が下記のいずれかに該当することを要します。
法人の役員とは、株式会社又は有限会社の取締役、委員会設置会社の執行役、持分会社
 の業務を執行する社員、法人格のある組合の理事などをいい、執行役員、監査役、会計
 参与、監事、事務局長等は役員に含まれません。

 イ  許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者
  としての経験を有する方※1
 ロ  イと同等以上の能力を有すると認められた方
  一  許可を受けようとする建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ず
  る地位※2にあって次のいずれかの経験を有する方
   ①  執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理し
    た経※3
   ②  6年以上経営業務を補佐した経験※4
  二  許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し6年以上次のいずれ
   かの経験を有する方
   ① 経営業務の管理責任者としての経験
   ② 執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験
  三  その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた方

※1経営業務の管理責任者としての経験を有する方」とは、法人の役員、個人の事業  主又は支配人(支配人登記されている者に限ります。)、「建設業法施行令(以下「
  」と表記します。)第3条に規定する使用人」(支店長、営業所長等)として、営
  業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務に
  ついて総合的に管理した経験を有する方をいいます。
   また、建設業を営んできたことを証する書面として(契約書や請書、社会保険被保
  険者記録紹介票等の確認書類)を要求されます。
※2経営業務の管理責任者に準ずる地位」とは、使用者が法人の場合は役員、支店長
  営業所長に次ぐ職制上の地位、個人の場合は事業主又は支配人に次ぐ職制上の地位
  をいいます。
  (例)法人の場合・・・経営部門の取締役に次ぐ地位にいた者(営業部長、総務部長等)
     個人の場合・・・個人事業主の専従者である子や配偶者
※3執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験」とは、取締役会
  設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委
  譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従
  って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験をいい
  ます
※4経営業務を補佐した経験」とは、許可を受けようとする建設業に関する建設工事
  の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締
  結等の経営業務に、法人の場合は役員に次ぐ職制上の地位にある方、個人の場合は事
  業主に次ぐ職制上の地位にある方として、従事した経験をいいます。

 また、経営業務の管理責任者は申請会社で常勤することが必要です。他社で常勤することは出来ません。
●  経営業務の管理責任者は、申請会社以外の他社の代表取締役(一人取締役を
 含みます。)、持分会社の代表社員、組合の代表理事、清算人を兼ねたり、他
 で個人事業を営むことはできません。
(ただし、申請会社以外の他社にそれらの方が複数おり、その会社では非常勤である場合を除きます。)
● 他社の技術者及び管理建築士、宅地建物取引士等、他の法令により専任性
 を要するとされる方と兼ねることはできません。ただし、同一企業で、同一
 の営業所である場合は除きます。
● 他の建設業許可業者の経営業務の管理責任者、専任技術者、令第3条に規
 定する使用人、国家資格者等・監理技術者と兼ねることはできません。
● 経営業務の管理責任者は、主たる営業所に常勤できる距離に居住している
 ことが必要です。

 そして、要件を満たせば、二以上の業種について一人で経営業務の管理責任者となることができます。
 特に、建設業に係る経営業務の管理責任者としての経験が6年以上(二以上の業種を合計して6年以上でもOKです。)あれば、全ての業種の経営業務の管理責任者になることができます。
専任技術者(法第7条第2号、第15条第2号)
 一般建設業の許可は次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する方が要件になります。

イ  許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、高校の所定学科(旧
 実業高校を含みます。)を卒業後5年以上、又は、大学の所定学科(高等専
 門学校・旧専門学校を含む)を卒業後3年以上実務の経験※1※2を有
 する方
ロ  許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上実務の経
  験※1※2を有する方 (学歴・資格を問いません。)
ハ  イ、ロと同等以上の知識・技術・技能を有する(『土木施工管理技士』 、『建築士』等の国家資格を有する方)と認められた方

 特定建設業の許可は次のイ、ロ、ハのいずれかに該当する方が要件になります。

イ  許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた試験に
 合格した方、又は建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた免許を受けた
 方
ロ  法第7条第2号イ、ロ、ハに該当(上記参照)し、かつ、許可を受けようと
 する建設業に係る建設工事で、元請として4,500万円以上(昭和59年1 0月1日前にあっては1,500万円以上、平成6年12月28日前にあって
 は3,000万円以上)の工事について2年以上指導監督的な実務の経験※3
 を有する方
ハ  国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した
 方
 ※指定建設業(土、建、電、管、鋼、ほ、園)については上記のイ又はハに該当する方に限ります。※4

※1実務の経験」とは、許可を受けようとする建設工事に関する技術上の経験であり、
  具体的には、 建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わ
  った経験等をいい、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事し、又は
  現場監督技術者として監督に従事した経験も含みます。工事現場の単なる雑務や事務
  の仕事に関する経験は含まれません。
※2実務の経験で許可を取得しようとするときは、実務経験の内容を実務経験証明書
  に記して証明する必要があります。このためには、証明しようとする期間分、実際
  に施した工事の契約書、注文書、請書等の写しを添付するとともに、原本を提示
  る必要があります。また、証明しようとする期間、証明者に在籍していたことが
  るもの(社会保険被保険者記録照会票等)の添付が必要です。
※3指導監督的な実務の経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事
  現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した
  経験をいいます。
※4土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業
  、造園工事業これら7業種については、施工技術の総合性等を考慮して政令で指定建
  設業に定められ、指定建設業について特定建設業の許可を受けようとする者の専任技
  術者は、一級の国家資格者、技術士の資格者又は国土交通大臣が認定したものでなけ
  ればなりません。

 また、営業所ごとに許可を受ける建設業種の専任技術者を常勤させなければなりません。なお、要件を満たせば、同一営業所において二つ以上の業種について一人で専任技術者となることができます。

 そして、 専任技術者は申請会社で常勤することが必要です。他社で常勤することは出来ません。
● 申請会社以外の他社の代表取締役(一人取締役を含む)、持分会社の代表社
 員、組合の代表理事、清算人である者、他で個人事業を営んでいる者は、申
 請会社の専任技術者になることはできません。
(ただし、申請会社以外の他社にそれらの方が複数おり、その会社では非常勤である場合を除きます。)
● 他社の技術者及び管理建築士、宅地建物取引士等、他の法令により専任性
 を要するとされる方と兼ねることはできません。ただし、同一企業で、同一
 の営業所である場合は除きます。
● 他の建設業許可業者の経営業務の管理責任者、専任技術者、建設業法施行
 令第3条に規定する使用人、国家資格者等・監理技術者と兼ねることはでき
 ません。
● 専任技術者は、従事する営業所に常勤できる距離に居住していることが必
 要です。
誠実性(法第7条第3号)
 法人である場合においては、当該法人またはその役員等※1若しくは政令で定める使用人(支店長・営業所長)、個人である場合においてはその者又は支
配人が、請負契約に関し、「不正※2又は不誠実※3な行為をするおそれが明らかな者」でないこと。
 上記の方が建築士法・宅地建物取引業法等で「不正」又は「不誠実な行為」を行ったことにより免許等の取消処分を受け、その最終処分の日から5年を経過しない方である場合は、許可を受けることはできません。

※1役員等」とは、取締役、執行役、持分会社の業務を執行する社員及び組合の理事の
  他に、相談役、顧問、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主、出資の総額の
  100分の5以上に相当する出資をしている者(個人に限ります)及び名称役職を問わず
  取締役と同等以上の支配力を有する方をいいます。
※2不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行に際して、詐欺・脅迫・横領等法律に
  違反する行 為をいいます。
※3不誠実な行為」とは、工事内容・工期等について請負契約に違反する行為をいいま
  す。
財産的基礎(法第7条4号、第15条第3号)
 請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあること証するために一般建設業の許可は下記の①、②、③のいずれかに該当することを要します。

~設立後決算が終了している場合~
①  法人にあっては、直前の決算の純資産合計の額が500万円以上であるこ
 と 個人にあっては、直前の決算の期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益
 の合計額から事業主貸勘定 の額を控除した額に負債の部に計上されている利
 益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額が500万円以上であること※
② 主要取引金融機関発行の500万円以上の預貯金残高証明書(残高日が申
 請書の受付日から起算して前1か月以内のもの)を提出できること
③ 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること
白色申告の場合等、確定申告書に添付された貸借対照表で金額が確認できない場合は、
 500万円以上の預貯金残高証明書が必要になります。

~設立後一度も決算期を迎えていない場合 ~
①  開始貸借対照表で資本金500万円以上であること(法人の場合)
② 上記②と同じです。


 請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあること証するために特定建設業の許可は下記の①、②、③の全てに該当することを要します。

① 欠損の額※が資本金の20%を超えないこと
② 流動比率が75%以上であること
  流動比率= 流動資産÷流動負債×100
③ 資本金が2,000万円以上であり、かつ、自己資本が4,000万円以上
 であること
欠損の額」とは、法人にあっては貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、
 その額が資本剰余金、利益準備金及びその他利益余剰金(繰越利益余剰金を除きます。
 )の合計額を上回る額を、個人にあっては事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の
 額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額
 を上回る額をいいます。
欠格要件に該当しないこと(法第8条)
 下記のいずれかに該当する方は、許可を受けられません
1 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、
 又は重要な事実の記載が欠けているとき
2 法人にあっては、当該法人、その法人の役員等、その他支店長・営業所長
 等が、また、個人にあってはその本人又は支配人が、次のような要件に該当
 しているとき
 ① 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない方
 ② 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、
  その取消の日から5年を経過しない方
   また、許可を取り消されるのを避けるため廃業の届出をした方で、届出
  の日から5年を経過しない方
 ③ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あ
  るいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な
  行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しな
  い方
 ④ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を
  受けることがなくなった日から5年を経過しない方
 ⑤ 下記法律に違反し、又は罪を犯したことにより罰金刑に処せられ、その
  刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から
  年を経過しない方
 ア 建設業法
 イ 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職
  業安定法、労働者派遣法の規定で政令で定めるもの
 ウ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
 エ 刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条又は第
  247条の罪
 オ 暴力行為等処罰に関する法律の罪
 ⑥ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定す
  る暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過し
  ない方
 ⑦ 暴力団員等がその事業活動を支配する方

 これらについて法人の場合は役員、相談役、顧問及び令第3条に規定する使用人(従たる営業所の支店長、営業所長等)の全員について、個人の場合は本人及び支配人(支配人登記している者に限る。)の全員について、下記書類がそれぞれ必要です。
登記されていないことの証明書
  成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の法務局発行の証明書
身分証明書
  成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書

 許可の種類(神奈川県の場合)(法第3条第1項第1号、2号)
 神奈川県内にのみ営業所をおいて建設業を営む場合は神奈川県知事許可
 神奈川県内に本店を置き、神奈川県以外の都道府県に営業所を設けて、本店、営業所ともに建設業を営む場合は国土交通大臣許可となります。

 許可を受けた後に必要な手続きは以下のとおりです

(1)更新申請
 許可の有効期間は5年間ですので(法第3条第3項)、引き続き許可を受けて建設業を営業する場合は、有効期間が満了する3か月前から30日前までに更新申請が必要です。

(2)決算変更届(決算報告書)
 毎事業年度終了後、4か月以内に決算変更届(決算報告)を提出しなければなりません。(法第11条第2項)

(3)変更届の提出
 ●商号●名称、所在地、役員などの変更をした場合は、30日以内に変更届を提出しなければなりません。(法第11条第1項)
 ●経営業務の管理責任者、専任技術者が交替した場合などは、2週間以内に変更届を提出しなければなりません(法第11条第4項)